好きな歌手の歌を歌っていて、出せない音域があるとやっぱり出せるようになりたいと思います。
特に高音域は多くの人がもっと高い声が出せるようになりたいと思いますよね。
ここでは高音域についてお話しします。

高音に大切なのは変声期

変声期、つまり声変わりの時期の過ごし方でその人の音域が大きく左右されます。
声変わりなんてとっくに終わってるよ!という人は大変ですが、一生懸命ボイトレするしかありません。

声変わりする前ってすごく高い声がでますよね。
それが、声変わりすると特に男性は一気に声が低くなります。
この時期に、高音を出す練習を続けているとその音域を比較的維持できます。

発声に関わる喉の仕組みは、成長に合わせて変化しますが、声変わりもそのひとつです。
成長期に何かしらの抵抗を加えると、その部分の成長は他と比べてゆるくなります。
例えば、子供の頃に筋肉質な体型を作り上げてしまうと身長が伸びにくくなりますし、 ケガや病気などでも成長に影響する事もあります。
喉も同じように変化する段階で、高音が出る練習を続けると、 変声期が終わっても比較的高い声を維持できるのです。

もしあなたがまだ声変わりがしていない方であったり、 そういった子に歌を教える立場にある方であるなら、 声変わりを向かえる時期には特に高音を出す練習をすると良いでしょう。
もちろん、高音を出す方に比重を傾けるのではなく、同じく低音も練習するべきなのは言うまでもありません。

高音を出す練習方法

高音や発声において「こういうイメージでするといい」と良く言われますが、 はっきり言ってしまうとそれは嘘です。
でもそれは悪い嘘では無く、良い嘘と言えるかもしれません。

高音トレーニングのイメージ 高い声は高音を出す練習をすることで出せるようになりますが、 それはとても根気のいる練習と言えます。
先に述べたように声変わりの時期に喉は成長し、声帯は完成してしまっています。
その声帯をより高音が出るようにしていくには、高い声を出す練習を積み重ねるしかありません。
これは筋トレなどと同じ考えです。
ダンベル運動が今10回しか出来なくても、毎日練習していれば1年後には20回できるかもしれません。
高音も同じように高い声を出そうとすれば、声帯はより伸びやすくなり、積み重ねる事で効果を実感することができるはずです。

練習方法としてはごく一般的なピアノなどを使った発声練習で、自分が出せるギリギリの高音を出すといったボイトレを毎日積み重ねるだけです。
毎日歌をうたうようなことがあるなら、高音を出す必要のある歌を毎日うたうのも練習になります。
ここで注意したいのは「出せないほどの高音」はあまり練習にはなりませんし、 無理をすると喉を痛める事にもなります。
そして大切なのはボイトレの成果を維持する事です。
練習期間があいたり、ブランクがあるとそうして積み重ねた練習は無駄になり、 以前より出やすくなった高音域はあっという間に出なくなります。
学校やレッスンに通っている方であれば、なかば強制的にボイトレする事になるので多くの人はより高音が出るようになるのですが、 週に1回程度の練習では極端に高音域が出るようになるとは考えにくいです。
ただ、練習のしすぎも問題で、喉に疲れが溜まると声を出すのが重くなりますし、 特に高音を出す事は疲れやすく、疲れれば疲れるほど高音は出にくくなるので、 そればかりを練習するというのはあまりおすすめできません。
歌の練習の前の発声練習やウォーミングアップの時に高音の発声を少しやり、 練習が終わった最後にもう一度高音のボイトレをする程度で十分です。

漠然と高音を出す練習をするというのは、とても地味で根気のいるボイストレーニングです。
ただそこに「こうするといい」と言われるとなんとなくそんな気になるし、 前より高い声が出ているような気にもなります。
例えそれが錯覚であっても、そういった「良いイメージ」をもってボイトレするというのは大切な事です。
そうする事で毎日の練習も嫌にならず、積み重ねた結果高音が出せるようになっているのです。

腹式呼吸で広がる高音

腹式呼吸で正しく発声ができると自然と音域が広がります。
腹式呼吸ができていないと、無理して高い声や低い声を出そうとしてしまうのですが、 腹式呼吸ができていると、発声自体が安定してできるので、不安定だった高音や低音もしっかりと出るようになるからです。
そこから練習を積み重ねる事で更に音域を広げる事もできます。
もっと高音を出したいと思っているけど、まだ安定した発声ができていないのなら「腹式呼吸のやり方とホントの事」から始めてみてはいかがでしょうか。


ブランクで狭まる高音

すでに述べましたが高い声を出す練習はできれば毎日するなどで、 わずかにでも上がった音域を維持する事が大切なのですが、 練習期間があけばあくほど音域は狭まります。
私は一時期のどの病気になり、半年ほど全くうたえない期間がありました。
ずっとうたい続けてきたのですが、そのたった半年だけでも随分音域が狭まりました。
低い声も高い声も前より出にくくなったのです。
ただこれもまた以前のように毎日発声練習をする事で、ほどなくして元通りの高い声が出るようになりました。
この事からも高い声を出す為には毎日のボイトレの積み重ねと、 長いブランクを作らない事が大切なのが分かります。


高音の練習の注意点

高い声を出す練習ばかりを繰り返すと喉に負担がかかり、痛めてしまいます。
これも筋肉と同じように自分の限界を超えるダンベル運動をしてしまったり、 強い衝撃を与えることで筋肉に力を入れられなくなることと同じです。
これまでに発声練習を続けてきた方ならまだいいのですが、 そういった練習をしてこなかった方が、急に高い声を出す練習ばかりをしてしまう場合は特に危険です。
焦っても急に高音が出るようになるわけではありません。
しかし練習を積み重ねることで必ず音域は広がります。
腹筋運動が今10回しかできなくても、毎日続けていれば1年後には必ず11回以上はできるようになっているのと同じです。