ここまでで腹式呼吸や声と息の関係を理解できました。
いよいよ実際の練習方法を交えてやっていきましょう。

ボイストレーニングの基本練習方法

発声練習でもっとも基本で誰でも知っているのは「あ、え、い、う、え、お、あ、お」と一音ずつはっきりと五十音全て言うものです。
これは歌を職業にしている人に限らず、役者やアナウンサーなど声を使う仕事をする人はもれなくみなさんやっています。
ボイストレーニングと言えば音程に合わせて「あー、あー、あー、あー、あー」が基本練習と思っている人も多いでしょうが、 それとは別に発声練習をすることがもっとも基本的な方法です。

歌であっても言葉をはっきりと発音する事は当たり前ですが大切な事です。
その為の発声練習はとても重要な事で、ここで口の動かし方や舌の動かし方を徹底して体に覚えさせておきます。
特に高齢になってくるとろれつが回らなくなってくるので、 この練習をおろそかにすると、自分では正しく発音しているつもりでも、 聞き手にとっては何を言っているのかわからなくなりがちです。

五十音の練習では基本的に口を大きく開け、はっきり・しっかり音を出します。
この時注意したいのが口の形です。
母音となる「あいうえお」(「か」であっても「あ」の形)がそれぞれ見て分かるくらいに口を開けてやって下さい。
これを毎日最低1セットやっておく事がもっとも基本的な練習方法です。

ボイトレの基本はこの五十音で、これをもっと多くのバリエーションでやります。
例えば、一音ずつ長めに発声する、短く力強く発声する、弱くしたり強くしたり交互に繰り返す、などです。
自分のやりたい発声練習がいくつも見つかると、それだけで1時間はボイトレをしてしまいます。
趣味でボイトレをする場合は1時間の発声練習はつらいものがあるかもしれませんが、 いくつかのバリエーションで10分でも30分でもいいので、なるべく長くやってみて下さい。


声を出し続ける練習

これは練習と言うほど熱心にやることでもないのですが、 自分の基本力が試せるのでやってみて下さい。

方法はとても簡単で、 時計などを見ながら、声を何秒出し続ける事が出来るかを測ります。
この時出す声の大きさは普通に喋る程度以上に出して下さい。

目標は1分です。
初めはなかなか続かないかも知れませんが、 前項の「声と息の関係」を理解し、上手く息をコントロールできると更に長く声を出し続ける事ができます。
最低でも50秒を超えられるように頑張ってみて下さい。
これは肺活量はもちろん関係しますが、 それよりもしっかりとした腹式呼吸と息のコントロールができているかの方が重要です。
つまり、そういった基本がしっかりと出来ていればたやすく、 そうでなければ1分に届かないので、基本ができているかを判定する事ができます。
ただこれはあくまで目安としているだけなので、 1分に満たないからといって、できていないとは言い切れませんし、これ自体が重要な事ではありません。

海外では重要視されているようにも思いますが、 日本では比較的軽視されています。
これは特に日本は「心」を重要視しているからなのかも知れませんね。


こうした発声練習を毎日積み重ねることで、自然とキレイなビブラートができるようになりますし、 音域も広がるため、より高音も出るようになります。