簡易防音室でいつでも練習できる環境を

音楽をやっていると防音室が欲しくなります。
防音室や防音スタジオは本格的に活動すればするほど必須と言えるものになるのですが、立派な物では費用も数十万ともなる価格のためなかなか購入に至らないのではないでしょうか。

自作防音室については、下の方の「自作防音室で使う材料」からをご覧ください。

防音室はその名の通り防音加工をした部屋や、半畳〜4畳半程度の簡易防音室を部屋に置くことです。
防音する為に部材に金属系のシートが使われている物もあり、そういった物の費用は通常、高価になります。
しかし自宅で練習する場合であれば、完全な防音室は別段必要ではなく、部屋の中にもうひとつ部屋があるだけで外や隣の部屋に聞こえるほど大きな音にはなりません。
その為、費用は5万円ほどの半畳の簡易防音室で十分とも言えます。
組み立て式防音室であれば改築の難しいマンションやアパートでも使うことができます。

自分や家族にDIYの出来る人がいれば簡易防音室を自作してしまうのもひとつの手です。
基本的には箱を作るだけなので、小さな木材の箱を作れるのであればそれが大きくなるだけなので作り方も簡単ですし、誰でも防音室の自作ができます。
高さ180cmで半畳程度の防音室であれば費用は5千円〜1万円ほどになります。
1畳ならそれの倍、2畳なら4倍の金額と思っておけば良いでしょう。
また、最寄や馴染みの工務店があるなら、そういった物を作ってくれるところもあります。
費用もそれほど高価ではないので、一度相談してみると良いかもしれません。
下記に1万円ほどの手作り防音室の作り方を書いてますので参考にして下さい。

費用で言えば中古の簡易防音室と言う手もありますが、中古の流通量自体が極端に少ないことと、その中から自分の要望に合う中古品を見つけることは相当難しいので、気長に中古品を探すよりも自作する方が早いでしょう。

自作や安価な商品で十分な防音が出来ない場合は、ドア周りの隙間などにゴムのシートやすきまテープを貼ると効果があります。

自作防音室でも発声練習やアコースティックギター、キーボード、菅弦楽器などであればこれで十分です。
防音室の外では音は聞こえますが、防音室を置いている部屋を出るとほとんど聞こえません。
隣の部屋でテレビがついてるけど何を言ってるかは聞き取れない程度でしょうか。
エレキギターなどで大音響となる場合は防音室の壁を二重構造(空間をあけたり、断熱材を挟む)にすると効果が上がりますが、費用も倍ほどかかる事になります。
ただ、防音室が狭い分音量は控えめでも十分大音量になります。
また、最も厳しいのはドラムで、フットペダルの音がどうしても響いてしまいます。
そういった場合はマットの上に防音室を置き、更にドラムの下にもマットを敷くと少しましになります。
それでも足りない場合は防音室の床を二重構造にするしかありません。

防音室の大きさの目安は一人で発声やギターを弾くなら半畳、大きなキーボードや機材、バイオリンやチェロなどの場合は1畳もしくは120cm×120cmもあれば十分です。
4人のバンド(ドラム付き)の場合は最低でも3畳は必要になります。

音楽をやっていると必要な楽器や機材にお金を使いがちですが、常日頃から気軽に十分な練習が出来る環境があることはとても大切な事です。
ひとつの機材を買う程度の費用で作れる簡易防音室、あなたも自作してみませんか?


コスト重視で簡単に作る場合の自作防音室の作り方です。
半畳の簡易防音室です。
下記の例では材料費は安いもので費用は1万円ほどになります。
これらは全てホームセンターで購入できます。
作り方も簡単なので是非自作してみて下さい。

自作防音室に使う材料
自作防音室の材料

コンパネで壁や天井、床、ドアまで作ります。
角材は四隅の柱、それぞれをつなぐ梁を作ります。
ゴムシートは柱とドアの間に挟み、防音効果を高めます。角材と同じ程度の幅の物を用意します。薄くても構いませんし、他に代用できる物があればそれでもいいでしょう。ゴムシートがテープになっていない場合は両面テープも必要になります。 今回使う材料の中では比較的費用がかかることと、後から貼ることもできるので防音効果を試してからでも良いかもしれません。
ドアノブは安くて簡単な物でも構いませんが、防音室のドアを閉めた時に止まるように工夫する必要があります。
蝶番(ちょうつがい)はドアに使います。これは細く長く、しっかりとした物をおすすめします。
・他に、釘またはネジを枠作成用の長いものが最低14〜16本、壁取り付け用の短い物を大量に使うので箱で売っている物を買っておくといいでしょう。

必要な工具
・ノコギリ
・メジャー
・鉛筆など
・ハンマーまたはドライバー
・ノミや彫刻刀などあれば


簡易防音室の作り方

防音室の枠を作る

防音室の枠組み 図が防音室の枠を作ったものです。
出入り口の足元は角材を入れるほうがしっかりするのですが、出入りに邪魔なので例では付けていません。
床にもコンパネを貼るので枠が歪む事はありませんが、不安であれば取り付けて下さい。

上から見た防音室の枠組み 上から見た防音室の枠です。
コンパネの幅が90cmなので、枠の1辺は90cm、柱をつなげる梁の長さは角材が5cm角の場合80cmになります。
釘はコンパネ取り付け時にたくさん打つため、図のように長いものを1本ずつ打てば十分です。
これ以降の手順は全て枠を寝かせている方がやりやすくなります。

防音室の壁を貼る

防音室の壁を貼る 防音室のドア部分以外にコンパネを取り付けます。
壁はそのままのサイズで取り付け、床と天井はコンパネを丁度半分に切断して取り付けます。
隙間が出来ると音が漏れるので、釘はケチらずにたくさん使います。
枠の幅が90cmなので、コンパネを取り付ける時に厚みの分角が出来てしまいます。
これはあらかじめコンパネの厚みを引いて枠を作ってもいいですし、もしくはコンパネの厚みと同じサイズの角材を用意し、取り付ければ見た目も良くなります。(コンパネの厚みが1cmなら1cm角×180cmの角材)
これは天井や床部分にも出来ますので同じように工夫します。
見た目にこだわらなければこのままで問題ありません。

ゴムシートを貼って防音効果を高める

防音室の入口にゴムを貼る 防音室の入口部分にゴムシートを貼ります。 防音効果を高める為で、上下左右に一度貼っておきドアを取り付けてから更に何回か重ねて貼ります。

ドアノブの取り付け

ドアノブを付ける 防音室のドアとなるコンパネにドアノブを取り付けます。
ドアノブの取り付け方法はセットを買っていれば見れば大体分かります。
コンパネの厚みが足りない場合は、ノブとノブの間に余った角材を挟みます。
柱側への取付金具はドアを取り付けてからの方が位置を確認しやすいので、ドアを付けてから取り付けます。

ドアの取り付け

防音室にドアを付ける 防音室にドアを取り付けます。
蝶番を柱とドアに取り付けるのですが、ドアとなるコンパネの厚みが薄いので余った角材などをあてがいネジを締めます。
見た目が気になるのならドア側はボルトナットで止めるのもひとつの方法です。
蝶番を柱に取り付ける時は、すでに柱に貼っているゴムシートを蝶番と同じサイズに切り抜いてから取り付けます。
ノブの取付金具をまだ付けていない場合はここで取り付けます。
この時に少し穴を開ける必要があり、ノミや彫刻刀があれば一番良いのですが、なれけばマイナスドライバーをハンマーで叩きながら穴をあける事もできなくはありませんので、試してみて下さい。

最後にドアを閉めて隙間が無いか確認します。
特に蝶番側は金具の分隙間が空きますので、開け閉めできるのを確認しながらゴムシートを何回か重ねて貼ります。
ドア側の蝶番部分以外に貼るのもひとつの方法です。
コンパネは1枚板のままでは絶対に歪むので、閉めた時に隙間が空いている箇所にもゴムシートを重ねて貼っていきます。
あまりに広い隙間が空いている場合はスキマテープなどを使ってもいいですし、ドアだけ初めから二重構造にし、歪みにくくしておくのもいいですね。
最終的にノブを強めに押してドアが閉まるくらいが丁度良い感じになります。

以上で自作の簡易防音室の出来上がりです。
作り方も簡単だと思いますがいかがでしょうか。
ポイントは隙間が無いことです。
通常、ドアは枠を作り中に入れるのですが、それではどうしてもドアと枠、更に枠と壁にかなりの隙間が出来てしまうので、このような作り方のほうが簡単でなおかつ防音効果が期待できます。
また、窓が無いのでドアを閉めると真っ暗になります。
おすすめはクリップライト(電球は明るいものに交換する)を中に入れ、天井から下げるだけで十分明るくなります。

防音室にケーブルを通す穴を開ける 防音室の中で電気を使う物を使う場合は、壁に穴を開けてコードを通すのですが、使いたい物の電源ケーブルを通すのではなく、あらかじめ延長ケーブルを取り付けておくほうが便利です。
3cmほどの穴を開けて延長ケーブルのコンセントを通し、穴に同じサイズのゴム板をはめ込みます。
こうすれば見た目も良いし、防音も出来ます。

たったこれだけの簡易防音室でもかなりの防音効果があります。
これでもまだ足りない場合は内側にも板を貼る、その際に断熱材や防音材、費用をかけないならダンボールなどを間に入れると良いですね。
また、見た目にこだわるならコンパネの上にデザイン板や柄の入ったベニヤ、安く抑えるなら切り売りの壁紙などを貼ると見た目も良くなります。

自作防音室に使う材料は上にあげたものと同じにする必要はなく、壁材には石膏ボードやウッドチップの板などもありますし、角材も2mと4mではほとんど値段が変わらない場合もありますので、費用に合わせて選んでみて下さい。

また、今回作った自作防音室は換気扇や通風孔がないので、長時間使い続ける事は避けて、度々ドアを開けるようにして下さい。

上でも述べていますが、この自作防音室のサイズの場合一人で発声練習やギターであれば十分です。
ギターの場合はアンプを入れるなら椅子にしたり、棚を作って上に設置したりする必要があります。
キーボードの場合、小さい物であれば入りますが、防音室を置いてまで練習をされる方なら大きい物を使っていると思うので入りません。
同じくバイオリンやチェロも入るだけなら入れますが、弓や弾く腕が壁に当たるため無理です。
この場合、1.5倍〜2倍のサイズで作る必要があるので、費用も約倍かかると思えば良いでしょう。


特にギターに簡易防音室はおすすめ

防音室は深夜しか練習時間が取れない場合などは特に有効活用出来ますし、エレキギターなどの本格的な練習では大音量でする場合もあるので、是非試してみて下さい。
簡易防音室は狭い分音量控えめでも自分は大きな音で聴けますし、なおかつ外に漏れる音は少なくなるので特にエレキギターにはおすすめですし、音量調整ができないアコースティックギターにもおすすめです。
また、ギターをされている方はパワーアップ! ギター入門もご覧下さい。


簡易防音室の組み立てについて

今回例とした自作防音室は、最小幅が90pであるため、一般住宅の入り口から出し入れすることができません。 そのため設置する場所で組み立てることになります。

特に大学などに在学中でマンションやアパートに一人住まいの方に簡易防音室を必要とされる方が多いようです。
自宅で練習していると苦情が出ることも多く、それほど大きな音を出していないつもりでもトラブルとなるようです。

そういった方で組み立て式防音室などを探す方も多いようです。
今回作った自作防音室でも、お住まいの場所では作業場所がないために出来ないと思う方もいるかもしれません。
ホームセンターによっては購入した木材をわずかな手数料で切ってくれるところもあります。
さらに配達もしてもらえる場合もあるので、あとは室内で組み立てるだけで完成します。